12回の金曜日

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「世の中には僕よりもはるかに優しい男がいる 僕は君と別れるまで一緒にいるだけだ」 「どうしてそんなさみしいことが言えるの? わたしって要らないの? いなくていいの? 意味無いの?」 「今日はもう帰る。」 「帰らないでよ あなたが帰るとわたしは一人よ さみしいままここに一人残るのよ まだ話は終わってないのにどうして帰ろうとするの? 」 「答えが無いからだよ」 ヤスは立ち去り 玄関のドアを開けた バタンとしめてコンクリートの階段を降りた 「ガチャッ」 とだけ音がしてヤスは頼子に縛られた 彼女に言葉は無い 頼子はただただ両手でヤスの胴をつかんではなさない ヤスはそのままうつむいていた ひんやりとした白いコンクリートに ぽたぽたぽたぽた模様が出来た じんわりと小さな小さな水たまりが それでも薄く大きくなった 固く冷たいコンクリートに 人の心が浮いていた
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