第一章 代わり

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これは…私達の生きる《今》より、ほんの少し未来の話… パソコン画面と睨めっこをしている男と、寝ながら携帯をいじっている男がいる。 パソコンの男は…『原 正』(はら ただし)ゲームクリエーター。携帯をいじり回しているのは、その弟『原 渉』(はら わたる)大学2年生である。 渉「暇だぜ~暇だぜ~暇すぎて死~ぬ~ぜ~みたいな?」 正「…いいな、学生は春休みがあって…羨ましいよ。」 渉「俺は兄貴のが羨ましいよ…今、一番注目されてる体感ゲームクリエーター!誰もが認める、天才じゃないかよ」 渉は幼い頃から、兄の背中ばかり見て育った。勉強、スポーツ、流行の遊び…見た目はよく似ているので、容姿以外は全て兄に劣っていると思っていた。悪気はなかったが、思わず嫌味な発言をしてしまい、少し後悔した。 正「…じゃあ、おまえ、俺の代わりになってみるか?」 渉「はぁ?ナニいってんだよ…俺に兄貴の代わりなんて…」 正「暇なんだろ?会社の同期に新型体感ゲームのテストプレイヤーになって欲しいと頼まれたんだが…そんな暇はないから、おまえ行ってくれないか?」
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