第十章 手

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滝は、錠が使っていたナイフを数本もって現われた。ナイフを構えたまま、滝が渉に話かけた。 滝「あんたが、誰かの代わりかどうかは、知らないが…お姉ちゃんは、このゲームを通してあんたの事を本当に好きになったんだと思う。自分を心配して戻る途中で、怪我をしたあんたを見て。美紗を助ける為に、必死になってるあんたを見て…僕もあんたを信じてる。だから、あんな奴の戯言に動揺するな!自分の兄貴を信じる気持ちを疑うな!」 渉「なんか…おまえ、変わったな…」 滝「さて、こいつを片付けて脱出しよう」 葛切「落ちこぼれ二人が、ワシに勝てるつもりかぁ?馬鹿丸出しの友情劇に幕を引いてたるわ!」 またもや、口調の変わった葛切がスーツのポケットに手を入れた。 ドス! 滝の投げたナイフが葛切の胸あたりに突き刺さる。そのまま、教卓から後ろに倒れ落ちた。 ドサッ 滝「口ほどにもない奴だ…さて、と…」 滝は葛切に近づいていく。 渉「?何するんだ?」 滝は振り替えって言った。 滝「脱出の可能性があるのは、こいつの…」 ヌ~ 教卓の影、葛切が倒れこんだあたりから、影のような黒い固まりが蠢いている。 渉「滝!!」 渉の声に反応して、滝が後ろに飛びのいた!滝がさっきまでいた場所に影のように黒い腕が伸び、床をえぐった。 ズズズズズ… 滝「なんだ?こいつは…黒タイツとは違う…」 葛切「やれやれ、もうコイツを出すハメになるとは…コイツは『ズー』。黒タイツを強化し、ワシを守るようになっとる」 胸に突き刺さったナイフを抜き取る葛切。どうやら、スーツの下に防弾チョッキのような物を着ているようだ。 ズー「クズキリサマ…ナンナリト、ゴメイレイヲ」 葛切「そのガキを足止めしろ。私はパネルを動かす。」 ズー「ハイ、カシコマリマシタ…」 ズーは滝に飛び掛かった。image=46590465.jpg
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