第1章

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【剣士】 あの戦から数千年の時が過ぎ去った。 神々は戦の後、『オーセリア』から去って行った。 残された人間たちは神々の偉業を子々孫々に語り継ぎ、いつしか伝説になっていった。 戦の最中、森の中に眠らされた小さな命は…まだ目覚めの時を迎えていなかった。 大陸の北部に位置する『オフガシャーナ王国』 オーセリアに存在する13の国(正確には1つは国ではないのだが…)の中で一番の面積を持ち、数多くの神々の伝説がある国でもある。 この国に「彼」はいた。 剣の才能に秀で、「彼」の右に出る者はいなかった。 将来を嘱望されているような「彼」であったが、実際のところ「彼」が望むのは勇猛果敢に剣一本で渡り歩く“剣士”だった。 というのも「彼」の亡くなった父親の夢でもあったからだ。 毎日鍛練しているのも、その夢の為なのだ。 「彼」の名は、グレン。 オフガシャーナ王家に仕えるエジュナード侯爵家の次男坊。 しかし、侯爵の跡目はグレンの兄アナンが父親が他界する前に継いでいたので特に問題はなかった。 もうすぐ父親の喪が明ける。それまでは国にいることにしている。 「グレン」 .
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