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決意はしたものの、いざとなると怖じけづくのが人間だと思う。 あたしは結局零に何も言えてないまま七月を迎えていた。 そんなモヤモヤを抱えたあたしはお昼ご飯も喉を通らない。 「栞、もう夏ばて?」 すでにエビピラフを完食した真奈が覗き込む。 「違うよ。考え事してた」 そうごまかしてスプーンを動かした。 「今日、海外事業部忙しそうね。なんかあるの?」 「あぁ、なんかどこかの会社のお偉いさんの接待があるの。あたしには関係ないけど」 「…かっこいい人来るかなぁ」 真奈が目をキラキラさせて言った。 「こないだ言ってた取引先の人はどうなったの?」 「あぁ、だめ。親が口うるさくて有名な人だったの」 どこでその話を仕入れてくるのだろう。 真奈とはお昼を一緒に食べることが増えたけど、まだ謎な部分が多い。 ランチを終えたあたし達はそれぞれの部署へ戻った。 .
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