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あたしが少し落ち着いたのを見て、真奈はあたしにソファに座るように言った。 それから自分のデスクに戻り、どこかに電話していた。 「………そういうわけなので、よろしくお願いします。…電話しておいたよ。柴田さん、早退していいって」 「…ありがとう」 「部長達はみんな出たから、オフィスに残ってるのは柴田さんだけみたい」 だとするとあの人ももういないのだろう。 「もう少しだけここにいていい?落ち着いたら行くから…」 「いいよ。真奈も今日、ここで一人なんだ。好きなだけいて」 パソコンをいじりながら真奈が言った。 「ごめんね…」 あたしはしばらくの間秘書室にいた。 真奈は何も聞いてこなかった。 たぶん、聞きたいことだらけだと思うのに。 「そろそろ戻るね。デスク片付けたら今日は帰る。ありがとう、真奈。近いうちに、真奈にもちゃんと話すから」 「うん。大丈夫?一人で戻れる?」 「大丈夫」 .
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