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オフィスに戻ると、上総が心配そうにあたしを見てきた。
「目、かなり腫れてる」
「久しぶりにめちゃくちゃ泣いちゃった。零、気にしてたでしょ」
デスクを片付けながら零のことを聞いてみた。
「心配してた。でも、これから部長についていかなきゃいけないから、俺にあとは頼むって言ってた」
「そっか…」
「眞鍋さんと知り合いだったんだね」
見透かされたように言われた。
眞鍋さん…その言葉が胸に突き刺さる。
「前に付き合ってたの。そのことであたし、零に言わなくちゃいけないことがあるの…」
また涙が溢れてきた。
「零に、伝えておいてほしいの。話すことがあるから、部屋で待ってるって」
「伝えておくよ」
上総はそう言ってあたしの頭を撫でてくれた。
涙は止まらない。
「零なら大丈夫だよ」
あたしの不安を知っているはずもないのに、上総はそう言ってくれた。
「うん…。ありがとう」
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