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帰り際、名刺を渡された。 裏を見ると、ケータイの番号とアドレスが書いてあった。 「また飲みに行こう。他の子には秘密で」 そう言われ、なんだかドキドキした。 「はい」とだけ答えた。 その日帰ってから、あたしは眞鍋さんにすぐメールをした。 内容は、社交辞令みたいなことだ。 メールはすぐに終わった。 それから二日に一度のペースでメールをした。 取り留めのないメールだ。 趣味や最近観た映画とか、そんな話をした。 半月くらいしてから、食事に誘われた。 あたしはすぐにOKの返事を送った。 「栞ちゃん、少食?」 誘われたお店はフランス料理のお店だった。 大人な雰囲気だ。 「いえ…こういうお店初めてだから…」 「リラックスしなよ、個室なんだから誰も見てないよ」 こんな高級なお店の個室を予約できるなんて、この人は何者なんだろうと思った。 その後何回か一緒に食事をした。 それだけの関係だったけど、あたしの眞鍋さんに対する気持ちはどんどんと大きくなっていった。 .
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