32360人が本棚に入れています
本棚に追加
彼はずっと変わらなかった。
だからあたしも前と変わらず彼のそばにいた。
だけど…突然変化は起きた。
「ここまでが、零と出会う少し前の話」
あたしはテーブルの上のアイスコーヒーを一口飲んだ。
氷が溶けて味が薄くなっていた。
「零、あたしね。あの人の子供を妊娠したの」
零があたしを驚いた顔で見つめた。
あたしはじっと零の目を見つめた。
「零と出会う半月前くらいに…気付いた。でも、その頃からもう眞鍋さんとは連絡は取れなくなっていた」
いつの間にか涙が溢れていた。
「何回も電話したけど拒否されてて…会いに行ってもいなくて…どうしていいかわかんなくて…」
零が痛々しいものを見ているみたいにあたしを見た。
辛そうな顔をしている。
「それから連絡の取れない日が続いて…ある日またマンションに行ったの。そしたら…彼がちょうど出て来たの。女の人と腕組んでた…それ見てあたし…もうダメだって思った…」
.
最初のコメントを投稿しよう!