13/14
前へ
/263ページ
次へ
涙腺も落ち着いた頃、あたしはまだ零に抱きしめられたままだった。 「零にちゃんと考えてほしいの…これでもあたしとずっと一緒にいたいかどうか」 「いたいよ…」 零は小さな声で即答した。 「今はそう言えるかもしれない。でも…あたしは二年経つ今でも…葛藤したりするんだよ。だから…もっといっぱい考えて…」 零の絡んだ腕を解いた。 「しばらく亜希のところに行くね」 顔を上げた零の目は、真っ赤だった。 「零がいっぱい悩んで出た答え、いつか聞かせてほしい」 「別れるみたいだな…」 「…別れたくないよ。大好きだもん。でも、このまま結婚する道には行けない。ちゃんと零が悩んで、理解してくれた上で一緒にいたい」 零がきつく抱きしめてきた。 息が出来ないくらい苦しい。 ちゃんと考えてほしかった。 一生子供が出来ないってことは、重大なことだから。 あとから事実に後悔しても、お互いが辛いだけだから。 .
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32360人が本棚に入れています
本棚に追加