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涙腺も落ち着いた頃、あたしはまだ零に抱きしめられたままだった。
「零にちゃんと考えてほしいの…これでもあたしとずっと一緒にいたいかどうか」
「いたいよ…」
零は小さな声で即答した。
「今はそう言えるかもしれない。でも…あたしは二年経つ今でも…葛藤したりするんだよ。だから…もっといっぱい考えて…」
零の絡んだ腕を解いた。
「しばらく亜希のところに行くね」
顔を上げた零の目は、真っ赤だった。
「零がいっぱい悩んで出た答え、いつか聞かせてほしい」
「別れるみたいだな…」
「…別れたくないよ。大好きだもん。でも、このまま結婚する道には行けない。ちゃんと零が悩んで、理解してくれた上で一緒にいたい」
零がきつく抱きしめてきた。
息が出来ないくらい苦しい。
ちゃんと考えてほしかった。
一生子供が出来ないってことは、重大なことだから。
あとから事実に後悔しても、お互いが辛いだけだから。
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