10

2/11
前へ
/263ページ
次へ
彼のマンションは何回も行ったことがあったから場所はわかっていた。 部屋は普通に男の一人暮らしって感じで、女の気配なんて少しもなかった。 最近は何回行っても彼は留守にしていた。 車もなかったし、きっと違うところに寝泊まりしているのだろう。 ストーカーかってくらい、あたしは何度も彼のマンションを訪ねた。 そんなある日だった。 あたしは仕事帰り、彼のマンションに向かった。 その日は珍しく彼の車があった。 気持ちが高ぶった。 だけど、マンションの入口のガラス越しに彼を見つけたとき、あたしはその場から逃げた。 彼は、女の人と腕を組んで出てきたのだ。 結婚相手だとすぐわかった。 このままあたしが出ていっても、ミジメなのはあたしだ。 二人の姿を見て、あたしは彼に捨てられたんだということを強く実感させられた。 .
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32360人が本棚に入れています
本棚に追加