10

5/11
前へ
/263ページ
次へ
部屋に戻り、亜希に電話をした。 あたしの普通じゃない様子を察知したのか、亜希はすぐ行くと言って電話を切った。 「栞!」 亜希は本当にすぐ来た。 玄関に座り込んでいたあたしを見て、驚いていた。 「あんたまずお風呂入りな。今入れるから」 「ありがとう…」 ゆっくりとお風呂に浸かった。 冷えた体が温まる。 なんだか今日は人に助けられてばかりだ。 お風呂から上がると、亜希はキッチンに立っていた。 「どうせ何も食べてないんでしょ?」 亜希がテーブルに置いたのは、熱々のリゾットだった。 一口食べると、クリームソースの味が広がった。 「あたし、眞鍋さんに完璧捨てられちゃった」 亜希のほうは見ないようにして、あたしは話を始めた。 亜希を見るとまた泣いてしまいそうな気がしたから。 「亜希から眞鍋さん結婚するって聞いた頃から、連絡取ってないの。着拒されるし、家にもいないし」 「何それ…聞いてないんだけど」 亜希が怒っているのが嫌でもわかった。 .
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32360人が本棚に入れています
本棚に追加