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部屋に戻り、亜希に電話をした。
あたしの普通じゃない様子を察知したのか、亜希はすぐ行くと言って電話を切った。
「栞!」
亜希は本当にすぐ来た。
玄関に座り込んでいたあたしを見て、驚いていた。
「あんたまずお風呂入りな。今入れるから」
「ありがとう…」
ゆっくりとお風呂に浸かった。
冷えた体が温まる。
なんだか今日は人に助けられてばかりだ。
お風呂から上がると、亜希はキッチンに立っていた。
「どうせ何も食べてないんでしょ?」
亜希がテーブルに置いたのは、熱々のリゾットだった。
一口食べると、クリームソースの味が広がった。
「あたし、眞鍋さんに完璧捨てられちゃった」
亜希のほうは見ないようにして、あたしは話を始めた。
亜希を見るとまた泣いてしまいそうな気がしたから。
「亜希から眞鍋さん結婚するって聞いた頃から、連絡取ってないの。着拒されるし、家にもいないし」
「何それ…聞いてないんだけど」
亜希が怒っているのが嫌でもわかった。
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