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「亜希にもう一つ言わなきゃいけないことがあるんだ」
「なに…?」
「あたし、眞鍋さんとの子供がいるの」
しばらくしてから、鼻をすする音がした。
「連絡つかないから言ってないんだけどね」
「このまま…終わるつもりなの?ってか、何でそんな淡々と言うの?」
鳴咽混じりで亜希が言った。
「…今日。マンションに行ったんだ。そしたら、幸せそうな顔して女の人と出てきた。もう完璧捨てられたの。もう…どんな顔していいかわからない」
それから二人で泣いた。
亜希がいてくれて良かった。
もし一人だったら、あたしの心は完全に折れてしまっていたと思う。
「子供…どうするの?」
少し落ち着いたとき、亜希があたしの目を見て言った。
「生むつもり…だった。最初は。でも…こういう捨て方されて、一人で生んで育てていく自信がない」
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