32360人が本棚に入れています
本棚に追加
正直な気持ちだった。
亜希から彼が結婚することを聞いたとき、いつか別れを告げられる覚悟はしてきた。
でも彼はあたしから逃げた。
そんなときに発覚した妊娠だった。
早く彼に伝えたかった。
もしかしたら、結婚を思い直してくれるかもしれないと思った。
彼を繋ぎ止めることしか考えていなかったあたしは最低な女だ。
彼と会えない日々が続いて、あたしはふと冷静に考えた。
このまま子供を生んでも眞鍋さんはあたしに見向きもしない気がした。
そんな中、昨日の光景を見て、あたしはすべての自信を無くした。
本当は中絶なんかしたくない。
でも、キレイゴトは言えなかったし、言われても今のあたしには多分ムダだと思った。
あたしの子供に代わりはない。
でもこの子は…彼の子供でもある。
愛しさと憎しみが混ざったような感情に、あたしは押し潰されそうになった。
.
最初のコメントを投稿しよう!