32360人が本棚に入れています
本棚に追加
数日後、あたしは産婦人科に足を踏み入れた。
曽我産婦人科。
ここで出会ったのが葉月先生だった。
「中絶出来るギリギリの週数なの。それだけリスクが高くなるわ」
診察室に入ったあたしは葉月先生にそう言われた。
「リスク?」
「術後、妊娠できなくなったり、しにくくなったりってこと。こればかりは保証できないの」
それを聞いてあたしは少し躊躇した。
でも、やっぱり生むことは考えられなかった。
数日後、手術のためにまた葉月先生の元に行った。
「こないだより痩せたんじゃない?ちゃんと食べてる?」
葉月先生は心配そうに言った。
手術を待つ間、お腹に手を当ててみた。
実感なんてない。
あたしはいつの間にか「ごめんね…」とつぶやいていた。
生んであげられなくてごめんね。
本当にごめんね。
ごめんね。
ごめんね。
.
最初のコメントを投稿しよう!