32360人が本棚に入れています
本棚に追加
それから半年くらいが経ち、亜希と旅行に行くことになった。
有名な温泉地だ。
「一緒に飲まない?」
そう誘われたあたし達は、彼等と一緒に夜を過ごした。
それから一人の男に誘われ、あたしは一夜を共にした。
「栞ちゃん…」
寄ってくる男に身を任せ、あたしは悶えた。
久しぶりの人肌の感触に、飢えていたのだろうか。
触れ合う肌が何とも言えないくらい心地良かった。
だけどあたしは心を開くことが出来なかった。
好きになること、愛することが怖かった。
最後に捨てられるのが怖かったからじゃない。
最後にこの体を拒否されるのが怖かったんだ。
だからあたしは一歩を踏み出せず、ぬくもりだけを求めて一夜限りの関係を重ねた。
.
最初のコメントを投稿しよう!