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それから半年くらいが経ち、亜希と旅行に行くことになった。 有名な温泉地だ。 「一緒に飲まない?」 そう誘われたあたし達は、彼等と一緒に夜を過ごした。 それから一人の男に誘われ、あたしは一夜を共にした。 「栞ちゃん…」 寄ってくる男に身を任せ、あたしは悶えた。 久しぶりの人肌の感触に、飢えていたのだろうか。 触れ合う肌が何とも言えないくらい心地良かった。 だけどあたしは心を開くことが出来なかった。 好きになること、愛することが怖かった。 最後に捨てられるのが怖かったからじゃない。 最後にこの体を拒否されるのが怖かったんだ。 だからあたしは一歩を踏み出せず、ぬくもりだけを求めて一夜限りの関係を重ねた。 .
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