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「純也にもごめんねって言っておいて。亜希を独占して、って」
亜希の部屋に着いて、あたしは純也を気遣った。
いつもはここで会っているらしいから。
「気にしなくていいよ。純也より栞のほうが優先順位高いから」
そう言って亜希は笑った。
「で、零君の反応は?」
「…びっくりはしてた。あたしが突き放す感じで出て来ちゃった」
「明日から土日だから顔合わせなくて済むと思うけど、月曜からどうするの?仕事で会うでしょ?」
「うん。仕事にプライベート持ち込まないって、最初から約束してるから」
そうは言ったものの、あまり自信がないのが本当のところだった。
人数の多い部署ならまだしも、うちの部は人が少なくて嫌でも零が気になってしまう。
「まぁ、なんとかなるよ」
それから亜希にお風呂を借りた。
考えるのは零のことだった。
今何を考えているんだろう。
どんな顔をしているんだろう。
「零…」
さっきまで一緒にいたばかりなのに、もう会いたくなってしまった。
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