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あたしと入れ代わりに亜希がお風呂に入っている間、手帳を開いた。 短い日記が書いてある。 零と再会してから、その内容は例えたらピンク色だ。 幸せな毎日が綴られている。 デートした日はその時に撮ったプリクラが貼ってあって、高校生に戻ったみたいだと思った。 「そのプリクラ欲しいなー」 いつの間にかお風呂から上がっていた亜希が、背後から手帳を覗き込んでいた。 「びっくりしたぁ…」 「栞が自分の世界に浸ってたんだよ。ところで何飲む?亜希ん家お酒しかないけど」 亜希は髪をタオルで拭きながら、冷蔵庫を開けた。 「ビール」 あたしがそう言うと、亜希は缶ビールを二本持って戻って来た。 お互い乾杯も言わずにそれを飲んだ。 「…今日はホントに驚いちゃった。まさか眞鍋さんがいるとは思わなかったから」 「亜希も聞いてビックリだよ」 「なんか、当たり前なんだけどさぁ。全然ときめかなかった。零の方が数百倍イイ男って思った」 それを聞いて亜希が声を出して笑った。 .
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