11

5/8
前へ
/263ページ
次へ
朝からドキドキした。 会社までの道で零に会ったらどうしよう、と思っていた。 どうせ着いたら会うのに。 「おはよ」 肩をポンと叩かれた。 「上総…おはよ。先週はありがとう、零にすぐメールしてくれたんでしょ」 「早いほうがいいと思って。今日は零と一緒じゃないの?」 「あ…今あたし、友達のところにいるんだ。別れたわけじゃないんだけどね」 上総はそれ以上何も聞いてこなかった。 そこは大人だと思う。 オフィスに入り、今日の仕事の準備をしていると、司と章介が入って来た。 二人と挨拶を交わす。 零は遅いな…なんて思っていると、部長が入ってきた。 零抜きで朝礼が始まる。 「佐島君は今日から三日間休暇を取っているから、そこのところ、よろしく頼むよ。あと、僕も今日から一週間出張でいないから、なにかあったら携帯に連絡してほしい。それじゃぁ、今日も頼んだよ」 部長はそう言ってオフィスを出ていった。 あたしは席についたまま固まっていた。 「栞?」 そんなあたしに気付いたのか、上総が呼びかけて来た。 .
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32360人が本棚に入れています
本棚に追加