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「あ…うん…ごめん」 三人が心配そうにあたしを見ていた。 それだけあたしは暗い顔をしているのだろうか。 零はあたしに会いたくなかったから仕事を休んだのかな。 でも、零はそういう人間ではない。 そこはわかっているはずなのに。 けれどあたしの不安は大きくなるばかりだった。 それは、零の出した結論に対する不安だ。 怖い。 すごく怖い。 その日の仕事はあまり手がつかなかった。 最悪だ。 二年前だって、どんなことがあっても仕事だけはしっかりやっていたのに。 そのままテンションが低いまま、終業時間を迎えた。 何も乗っていない零のデスクが無性に気になった。 次の日もその次の日も、零のきれいなデスクを気にしながら仕事をした。 相変わらず仕事ははかどらない。 三人ともあたしに気を使って何も言わないのが申し訳なかった。 いつものオフィスの空気ではない。 .
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