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「零君、なんだって?」
「来るって…えっ、どうしよう。何着てこう!化粧も落としちゃったよ」
いきなり現実に戻ったあたしは、かなり焦った。
仕事から帰って来たらスウェットにノーメイクが基本だから、急に出掛けるとなると時間がかかる。
しかも亜希のところにいるわけで、イイ服は全部零のところに置いて来た。
「ほら、早くメイクしちゃいな。その間亜希が服選んであげるから」
亜希はそう言ってクロゼットを開けた。
「うーん…」とうなりながら吟味している。
一方あたしは急いで化粧した。
零に会えるというだけで、何だか念入りになってしまう。
時間はないのに。
そんな中化粧がし終わる。
短時間で頑張ったわりに、よく出来たと思う。
そう思いながら亜希が用意してくれた服に袖を通した。
「…スカート短くない?」
鏡を見たあたしは、そこだけがやたらと気になった。
「そんなことないよ。はい、カバン。もうそろそろ零君も着くんじゃない?いってらっしゃーい」
亜希はニヤニヤしながら玄関まであたしの背中を押した。
「…行ってくるね」
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