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外に出ると、零の車が止まっていた。
「久しぶり…って言っても、まだ一週間も経ってないんだよな」
車に乗って零が一番にそう言った。
車が動き出した。
「どこ行くの?」
すかさずあたしはそう聞いた。
「適当にプラプラ。それとも、行きたいところでもあった?」
「ううん、特に」
その言葉を最後に、それからはお互い何も話さなかった。
あたしの場合、何を話していいかわからないのもある。
いくら話題を探しても、これとくるものが見つからなかったので、あたしは窓の外を見つめていた。
どこに向かっているのかは相変わらずわからない。
ただ一つわかっているのは、街からどんどんと離れているということだった。
零のほうをちらっと見ると、真剣な顔をして運転していた。
「…どした?俺の顔なんかついてる?」
そんなに長い時間見つめてしまってたのだろうか。
零が笑いながら言った。
「なんでもない。あたしそんな見てた?」
「見てたよ。もう着くから、少しだけ我慢して」
車は山を登り始めたようだ。
夜景がきれいなスポットでもあるのだろうか。
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