32362人が本棚に入れています
本棚に追加
/263ページ
「栞ちゃんは彼氏いないの?」
少しお互いが慣れて来た頃、零が不意にそう聞いてきた。
「いたら亜希と旅行なんてしないよ。あ、あとちゃん付け慣れないから栞でいい」
「あぁ、わかった」
優しげに笑った顔に、不覚にもドキっとしてしまった。
本当に整った顔をしている。
「会社でモテるでしょ。そんなにキレイだったら」
「そんなことないよ」
あたしは零に見つめられているのが恥ずかしくてうつむいて答えた。
「ちょっとトイレ」
あたしは小走りでトイレに駆け込んだ。
鏡を見ると、顔が赤かった。
あたしは飲んでも顔には出ないから、たぶん原因は零だろう。
あの目で見られるとなんだかドキドキしてしまう。
.
最初のコメントを投稿しよう!