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「じゃあずっと一緒にいよう」
零はすぐにそう言った。
あたしは何がなんだかわからなくなった。
「え?」
「栞は俺と一緒にいたいんだろ?俺だって同じだよ。だったら、離れる必要はないよ」
「でも…」
零があたしを見た。
「確かに、将来結婚して…子供が出来て…それが普通なのかもしれない。でも、一番大切なのはそこじゃないだろ。お互いずっと一緒にいたいって気持ちは無視するのか?」
「でも…周りはどんどん普通の家庭を築いてくんだよ?零はそれに耐えられるの?」
「それを二人で乗り越えるんだよ。お前が耐えられないなら、俺がお前を守る」
零はあたしを見たまま優しく微笑んだ。
あたしはもうダメだと思った。
今すぐ零の胸に飛び込みたい。
「これ」
そう言って零は小さな箱をあたしにくれた。
中身は…指輪だった。
「誕生日に渡そうと思ってたんだけど。状況が変わった」
「あ…」
あることに気付いた。
今日は七月八日。
あたしが眞鍋さんに捨てられたのを確信した日。
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