32360人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日は何の日か知ってる?」
零があたしの手の中にある箱から指輪を取り出した。
「二年前…あたしが眞鍋」
「俺達が出会った日。だろ?」
「あ…」
「お前の嫌な思い出は、全部忘れさせる。だから栞、俺と一緒にいろ。ずっとそばにいるから結婚しよう」
零があたしの左手の薬指に指輪をはめた。
いつサイズを調べたんだろう。
指輪はピッタリだった。
「零…」
「愛してる」
お互いを求めあうように激しくキスをした。
久しぶりの零の感触にあたしは酔いしれた。
「淋しくて死にそうで、会いたくて触れたくて…って、俺も同じだったよ」
せつなそうに零が言った。だからあたしは零を抱きしめた。
「零のこと愛してる。これからも…あたしのこといっぱい愛して」
零の顔を見ると、嬉しそうに笑っていた。
だからあたしもつられて微笑んだ。
「幸せにするよ」
そう言われたけど、今のあたしは十分幸せだった。
大好きな人と同じ気持ちでいられることがこんなにも心地良いなんて、正直知らなかった。
.
最初のコメントを投稿しよう!