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真奈と別れオフィスに戻ると、相変わらず零は真剣に仕事をしていた。
上総達はまだ戻って来ていないようだ。
あたしは静かにオフィスの隅っこにある給湯室からコーヒーを出した。
「お疲れ様」
そう言って零のデスクにコーヒーを置くと、零は手をいったん止め、思いきり手を上に伸ばした。
「んー…サンキュ」
パソコンの画面を見ると、英語でなにかが打ち込まれていた。
ちなみに、うちの部はあたし以外全員が英語ペラペラだ。
できなきゃ仕事にならないのだろうけど。
「零ってさ…なんかの大会に出るの?」
あたしは真奈がさっき言ってたことを聞いてみた。
零は少し驚いている。
「俺言ったっけ?」
「真奈がそんなようなこと言ってたから」
「ふーん…まぁ、出るんだけどさ」
なんだか言葉を濁すように零が言った。
「なんかあるの?」
「…大会自体は今年は九月にあるんだ。で、去年上総がその大会に出て、5位」
それがすごいことなのかよくわからなかったけど、あたしはとりあえず頷いておいた。
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