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「ただいまー…」
10時を少し過ぎた頃、零が帰って来た。
疲れた顔をしている。
「おかえり。ご飯とお風呂、どっちが先?」
「…ごはん」
零はそう言うと、スーツのままソファに寝そべった。
あたしは何も言わずにご飯の準備をした。
「れーい…できたよ」
「んー…」
どうやら半分くらい寝ているようだ。
「寝るの?」
あたしがそう問いかけると、零はいきなりガバっと起き上がった。
「いや。今日は寝ない。着替えてくる」
着替えてリビングに戻って来た零は、黙々とご飯を食べた。
ちなみにあたしは今日は先に食べた。
あんまり遅くに食べると太るのが気になるからだ。
「うまかった。ごちそうさま」
「お風呂入るでしょ?」
「うん。でも、ちょっと休憩…」
あたしが後片付けをしていると、いつの間にか零がこっちを見ていた。
「零?」
「ありがとう、栞」
「…ううん」
これだけであたしは幸せになれる。
なんて単純なんだろう。
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