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次の日、ガサゴソという物音であたしは目が覚めた。
「ん…」
「あ、ごめん。起こした?」
ぼやけた視界が段々とはっきりする。
「あれ?」
零はスーツを着ていた。
寝坊したのかと慌てて時計を見ると、まだいつもの起きる時間ではなかった。
「今日残業する気ないから、早く会社行って仕事してくる」
「え…?なんで?」
「…今日が本番だろ。栞の誕生日」
「あ…」
零がクスッと笑った。
あたしは寝起きでイマイチ頭が回っていないみたいだ。
「レストラン予約してあるんだ。楽しみにしてて。そしたら行ってくるな」
「うん…行ってらっしゃい」
あたしのおでこにキスをして、零は足早に寝室を出た。
玄関のドアが閉まる音が小さく聞こえた。
眠気にまた襲われたあたしは、零がいつも寝ている場所に移った。
一人でここで寝るのはなんだか変な感じがしたけれど、結局普通に寝た。
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