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「誕生日おめでとう」
「ありがとう」
注がれたワインで乾杯をし、一口飲む。
あまりワインのことはよくわからないが、飲みやすくておいしい。
零は予告通り、今日の仕事を早めに切り上げた。
予約した時間には余裕で間に合った。
「おいしい」
運ばれて来た料理を口にする。
何とも言えない風味が広がる。
要するにおいしいってことだ。
「よかった。ここ、純也のオススメなんだ」
「へぇ、亜希と来たのかな」
「いや、多分前カノと」
二人で苦笑いした。
亜希には絶対に言えない。
「…零さ、前に純也は女の子のお持ち帰り多いって言ってたじゃない」
「あぁ、言ったかな」
「亜希は本気なの?」
亜希の話を聞いている限りでは大丈夫な気はするが、あたしは気になって聞いてみた。
「すっげー本気。話聞いたらウザいよ。まだ栞と一緒に住んでないとき、三日に一回くらい夜中にのろけの電話がかかってくるんだよ。ムカついて切ってやった」
あたしはその光景を想像して笑った。
純也なら容易に考えられる。
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