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うちに帰り、楽な格好に着替えてソファに横たわった。
「なんかワインに酔っちゃった」
「えっ」
零が驚いた声をあげたので見てみると、手にワインとワイングラスを持っていた。
「まだ飲ませようって思ってたんだけど」
「飲ませようって何?」
意味深な言い方に、あたしはすぐに問い詰めた。
「酔わせようと思って」
サラっとそう言われてしまうと、こちらは何も言えなくなってしまう。
あたしは黙ってグラスを受け取った。
「酔わせて何するつもり?」
あたしはわかっているのにあえて聞いてみた。
零もわかっているくせに、という意地悪な顔をしている。
グラスにワインが注がれ、無言で乾杯をする。
静かな部屋にグラスがぶつかった音が響いた。
ボトルが3本開くのに、そう時間はかからなかった。
零のお望み通り、あたしはふらふらになった。
「れい~」
気分のいいあたしは零に倒れ込む。
零はしっかりとあたしを受け止めた。
「栞、飲み過ぎたんじゃない?」
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