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次の日、朝からオフィスには緊張感が漂っていた。
部長に電話がかかってくるらしく、部長はずっと電話を見つめていた。
そんな雰囲気だから何となく誰も話すこともせず、時間は刻一刻と過ぎていった。
30分が経った頃、ついに電話がなった。
「海外事業部成宮です。はい…はい、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします」
電話を切ったあと、部長は立ち上がった。
表情は変わらなかったため、そこからは何も読み取れない。
「佐島君…」
「はい」
零が部長の前に立つ。
「おめでとう。準グランプリだそうだ」
部長と零が固く握手をした。
その瞬間オフィスも沸き上がる。
「すげー!」
「やったね零」
すぐにファックスが流れ、上総がそれを見た。
零もそれを覗き込む。
「栞、これ見て」
零が紙を突き出した。
「あ…」
それは順位が書かれた紙だった。
零の名前が二番目に載っている。
「やってやったよ、俺」
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