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小言を言い合っている二人をよそに、あたしは壇上を見つめた。 相変わらず英語はわからない。 少しは練習しておけばよかったとも思った。 そんなあたしでも、零の名前が呼ばれたことくらいはわかった。 挨拶周りに行ったきり戻ってこなかったから、なんだか檀上にいる零を見ると久しぶりなきがした。 そして次に呼ばれたのが…眞鍋さん。 零と並んでいるのを見ると、すごく変な感じがした。 「栞ちゃん…あれって」 眞鍋さんに気付いた葉月先生があたしに話しかけてきた。 一度しか写真を見せていないはずなのに、すごい記憶力だ。 「うん。眞鍋さん」 「…平気?」 「平気。もう大丈夫」 あたしは笑顔を見せた。 それを見て葉月先生も安心したようだ。 授賞式を終え、零があたし達の元へ戻って来た。 「見てた?」 「見てたよ。ちゃーんと。何て言ってるかはわかんないけど」 「はは。今度教えてやるよ。栞が上達したら海外旅行でも行くか?」 .
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