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「覚えててくれたんだ。今日は零君とデートじゃないの?」
「たまたま今日は一人でのんびりしたいなって思って」
「じゃぁこれからお茶でもどう?近くにケーキがおいしい喫茶店があるんだ」
断る理由が見当たらなかったので、あたしは行くことにした。
いずみさんといると、こっちまで笑顔になってしまう。
不思議な人だ。
「へぇー同棲してるんだ」
「はい」
ケーキを食べながら、話はいつの間にかあたしと零のことになっていた。
「じゃ結婚も近々?」
「んー…まぁそのうちですかね」
あれから結婚話は進んでいない。
零が忙しかったのが大きな理由だ。
一緒にいるだけで今は幸せだから、大して今の状況が不安だとは思っていない。
「いいなぁー。零君優しいでしょ。佐島兄弟はどっちもいい男だよ」
「お兄さんって…どんな人なんですか?」
「泰輔…っていうんだけど、うん。優しくて思いやりがあって、この人と結婚したら幸せになれただろうなーって…」
そう言っていずみさんは一瞬だけ暗い顔を見せた。
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