15

15/38
前へ
/263ページ
次へ
「誰だろ…」 画面を見ると『いずみさん』と言う文字が目に入った。 「もしもし?」 「…栞ちゃん……助けて…」 消えそうな声だった。 「いずみさん?どうしたの?」 あたしのただならぬ雰囲気に、零は体を起こした。 「もう…無理、限界だよぉ…」 電話の向こうでいずみさんは泣いていた。 「零、どうしよう…」 「代わって。…いずみさん今どこ?うん、すぐ行くからそこにいて」 零は電話を切ると「行くぞ」とあたしに言った。 急いで準備をした。 車の中で、あたしは前に亜希と話したことを零に言った。 零は何も言わなかった。 いずみさんは駅にいた。 階段に座り、俯いて泣いていた。 「いずみさん…」 あたしが声をかけると、いずみさんは顔をあげた。 その目元には、痛々しいアザがあった。 あたし達の姿を見て安心したのか、いずみさんは声を出して泣いた。 いずみさんを落ち着かせ、車に乗せた。 零とは特に相談もしていないが、うちに連れていくのは間違いなさそうだ。 .
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32359人が本棚に入れています
本棚に追加