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「誰だろ…」
画面を見ると『いずみさん』と言う文字が目に入った。
「もしもし?」
「…栞ちゃん……助けて…」
消えそうな声だった。
「いずみさん?どうしたの?」
あたしのただならぬ雰囲気に、零は体を起こした。
「もう…無理、限界だよぉ…」
電話の向こうでいずみさんは泣いていた。
「零、どうしよう…」
「代わって。…いずみさん今どこ?うん、すぐ行くからそこにいて」
零は電話を切ると「行くぞ」とあたしに言った。
急いで準備をした。
車の中で、あたしは前に亜希と話したことを零に言った。
零は何も言わなかった。
いずみさんは駅にいた。
階段に座り、俯いて泣いていた。
「いずみさん…」
あたしが声をかけると、いずみさんは顔をあげた。
その目元には、痛々しいアザがあった。
あたし達の姿を見て安心したのか、いずみさんは声を出して泣いた。
いずみさんを落ち着かせ、車に乗せた。
零とは特に相談もしていないが、うちに連れていくのは間違いなさそうだ。
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