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「どうだろな。こればっかりは二人の問題だし」
「…そうだよね」
次の日、いずみさんは昨日よりも多少は元気を取り戻していた。
「これからどうするんですか?」
「…もううまくやってはいけない…な」
腫れた目でいずみさんは笑った。
「いずみさん、落ち着くまでここにいていいよ」
零がそう言うと、いずみさんは首を振った。
昨日、零と話し合ったことだった。
あたしも今のいずみさんを放っておけないから、それでいいと思った。
「でも…」
「いいから。今は戻ってほしくない」
零の押しにより、いずみさんは申し訳なさそうにうちにいることを選んだ。
いずみさんは一日中考え事をしているみたいだった。
窓の外をずっと眺めたり、お箸と茶碗を持ったまま固まったり、心がここにないみたいだった。
あたしはそんないずみさんが純粋に心配だった。
だけど、あたしの気持ちをあっさりと変えてしまう場面を見てしまった。
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