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夜中にふと目が覚めた。
隣を見ると、いるはずの零がいなかった。
ドアの隙間から光が漏れていたので、あたしは零が眠れなくて起きているのだろうと思った。
割とそういうことは今までもあったから、あたしは気にしないで寝ようとした。
だけどその時、啜り泣く声がした。
「いずみさん…?」
あたしはドアの隙間を覗いた。
そしてその光景を見て、静かにベッドに戻った。
目をつぶるとすぐに今見た光景が浮かんだ。
泣いているいずみさんを、優しく抱きしめる零。
あたしは見てはいけないものを見た気がした。
あまりにも抱き合う二人の姿がしっくりきた。
それは多分、零が大事な物を見る目で、自分の腕の中にいるいずみさんを見ていたから。
「…」
いずみさんは零のお兄さんと付き合ってたんじゃないの…?そんな考えが浮かんだ。
頭の中がぐちゃぐちゃで、あたしは眠ることなんて出来なかった。
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