32359人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしたの?栞…」
アポなし訪問に、亜希も多少は驚いていたようだった。
「ごめん…」
「入って。今純也いるけど…」
「うん、ごめんね」
部屋に入ると、純也がキッチンに立っていた。
料理中みたいだ。
「零とケンカでもしたか?そのかっこだと、仕事帰りにそのままうち来たんだろ」
あたしを見て純也が言った。
鋭い。
「実はさぁ…」
あたしはまずいずみさんのことを話した。
DVの話に、亜希は信じられないという顔をした。
「それで、ほっとけないからうちにいてもらうことにしたんだけど…でも昨日、見ちゃったんだ。泣いてるいずみさんを、零が抱きしめてるの…」
「それは…ただ慰めてただけじゃないの?」
亜希が言った。
「そう思いたいんだけど、いずみさんを見る零の目が…特別な感じがして…」
話し終えたとき、純也だけが難しい顔をしていた。
「どしたの?純也」
「…それは、零とちゃんと話すことだよ。ってか、ここに呼んで」
.
最初のコメントを投稿しよう!