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「なんかすごく明るい人で、すぐ好きになった。そのときは兄貴とはまだ何もなかったし。でも、いずみさんが兄貴のこと好きなのはすぐにわかった」
「どうして?」
「わかるよ。見てれば。兄貴のことばかり見てるんだから。それで、そのうち二人は付き合うようになった。でも俺は兄貴のことも好きだし、二人がうまく行けばいいって思ってた。でも…」
零の顔が暗くなる。
「急に二人は別れたんだ。7年近く付き合って、俺が知らないうちに終わってた。それからいずみさんに会うこともなかったし、兄貴も別れた理由を教えてくれなかった。俺もそのときはもう好きじゃなかったから、特に気にもしてなかったんだ。でも、昨日の夜その理由を聞いたんだ」
「昨日の夜って…」
「うん。栞が見たとき」
零があたしの顔を見た。
「政略結婚ではないけど、そういう親同士の繋がりがいずみさんにはあったらしいんだ。…眞鍋さんと」
「え?」
眞鍋さんの名前が出てくると思っていなかったあたしは、素直に驚いた。
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