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それを聞いて、この人が零のお兄さんだということに気付いた。 「泰輔…どうして」 「俺は、お前が幸せにやってるものだと思っていた。だけど、全然違ってたんだな」 零のお兄さんは悲しそうに言った。 いずみさんのことがそれほど大事だったんだなと思った。 「零、あとは俺に任せておけ。あとは大人の話し合いだ」 「俺だってもう大人だよ…」 零はそう言いながらも、あたしと亜希に部屋から出るよう促した。 部屋に出る前に、眞鍋さんを見た。 零のお兄さんの登場に、なんだか動揺しているようだった。 あたしと零はそのまま亜希に送ってもらった。 部屋に入ってすぐ、零にきつく抱きしめた。 「ごめんね…」 自然とその言葉が出た。 「一人で…あんまり無理しないで。亜希ちゃんからの連絡がもう少し遅かったら…」 「…」 「その先は考えたくないけど、ギリギリ間に合ってホントによかった…」 抱きしめられながら、あたしは零が少し震えているのに気付いた。 .
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