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「ごめんね…零…」
「顔に傷つけられたのはショックだけど、無事でよかった」
零の指があたしの口元に触れた。
傷が少しだけ痛む。
「顔、ひどいことになってる?」
まだ自分の顔を見ていないあたしは、零にそう聞いてみた。
「痛々しい」
零はそう言ってあたしの顔を引き寄せ、触れるだけのキスをした。
その日は死んだように寝た。
って、零が言ってたんだけど。
おやすみと言った後、すぐに寝息をたてていたらしい。
それもしょうがない。
あたしとっては長い長い一日だったから。
結局一人で乗り込んだのはいいけど、なにも出来なかった。
むしろ周りの人に心配をかけすぎた。
あとは兄貴に任せればいいよ、零は寝る前にそう言っていた。
いずみさんにとって、いい方向に進めればいいけど。
しばらくして、零からいずみさんと眞鍋さんの離婚が正式に決まったと聞いた。
世間体の問題から、眞鍋さんが裁判にしたくなかったらしい。
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