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五日が経った。
あたしにとっては長い長い五日間だった。
この日は土曜日で仕事が休みだったから、あたしは朝から零のところにいた。
「おっす」
「栞~」
「亜希、純也」
この日は亜希と純也がお見舞いに来た。
この五日間、いろんな人がお見舞いに来た。
零の人望なのかなぁとあたしは思う。
人が来るたび、零の傍で零の話で盛り上がる。
零もにぎやかなほうが目を覚ますかもしれないし。
そんなこんなで、今日も三人でにぎやかに話をしていた。
するとドアが開いた。
うるさすぎて看護師さんが注意しに来たのかとあたし達はドアのほうを向いた。
「あ、お兄さん」
「…泰輔兄ちゃん?」
純也が難しい顔をしてお兄さんに指をさした。
「純也か?何だお前、そのちゃらちゃらした恰好は」
あきらかにうざそうにお兄さんは純也に言った。
「変わってねー!その冷たいところ」
純也はお兄さんの態度を少しも気にせずに懐かしそうに笑った。
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