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「零、どこも痛くないか?」 純也が聞いた。 「あぁ。心配かけてごめんな、純也も亜希ちゃんも」 零のしっかりとした言葉を聞き、あたし達は安心した。 でもすぐに、次の言葉で零はあたしを絶望の底に突き落とした。 「この人兄貴の彼女?キレイな人だね」 零は明らかにあたしを見てそう言った。 「零…?」 最悪な予感がした。 「は?お前それ、本気で言ってるのか?」 「本気もなにも、会うの初めてだろ」 本気で言ってる…それは零の表情から容易にわかった。 想像もしていなかった展開に、あたしは気分が悪くなって病室を飛び出した。 「栞!」 亜希が追いかけてくる。 「待って栞!」 あたしはすぐに追い付かれた。 肩を掴まれ、その場に座り込んだ。 「栞…」 亜希はあたしの傍にしゃがみ込んだ。 「こういうのって、ドラマとか…そういう作り話の世界だと思ってた…」 「…うん」 「あるんだね…こんなことが」 .
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