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マンションは零が一人で暮らしていたときとあまり変わっていない。
あたしの荷物は少なかったし、空いている部屋にそのほとんどを置いていた。
だから零は自然な感じで二人で暮らしていた部屋にまた馴染んでいった。
お揃いの食器や歯ブラシには少し戸惑ってたみたいだけど。
「家事ってどう分担してたの?」
「ほとんどあたしだよ。嫌いじゃないから気にしないで。零はいつもパソコンしたり本読んだりだったよ」
「そっか」
零はリビングをうろうろしていた。
そして壁に貼った写真の前で足を止めた。
「…」
零は黙ってそれを見ていた。
写真は海外事業部のみんなで撮ったものだった。
零の準優勝記念に部長が撮ろうと提案したのだ。
「会社の中でも一緒なんだもんな…」
零は特に意味もなくそう言ったのかもしれなかった。
でもあたしには、あたしと一緒なのが嫌みたいな感じに聞こえた。
あたしのただの被害妄想かもしれない。
気分が落ちているのは本当だったから。
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