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零が怒っているかどうかなんて、わからないわけがない。
少しピリピリしているだけでわかるのに。
うちに入ってからも零は喋らなかった。
あたしはそれにしびれを切らした。
「もう。わけわかんない。言いたいことあるなら言ってよ!」
気付いたら怒鳴ってた。
いつものあたしからだったら考えられない。
「…なんで上総と抱き合ってるわけ?」
零はあたしを上から見下ろしながらそう言った。
「なんでって、慰めてもらってただけだよ。深い意味なんてない」
あたしは零を睨み返す。
「大体・・・零に関係ない」
「は?」
「だって・・・今の零にとってあたしは彼女じゃないもん」
そう言ってあたしは早足で部屋に戻った。
そうしてあんなことを口にしたのか、自分でもよくわからなかった。
でも、零は少なからず傷ついたかもしれない。
上総の言葉が頭に浮かぶ。
離れる?
零から?
本当にいいの?
あたしは自分の中で葛藤していた。
零から離れるかどうかを。
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