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「もしもーし」
「あ、あたし。ごめん、今大丈夫?」
「大丈夫だよ。どうしたの?」
「実はさ…」
あたしは亜希に、零から少し離れてみようかということを相談した。
「んー…亜希も、栞はがんばったと思う。だけど、栞は本当に零君から離れていいの?」
「…零のことはすごく好きだけど、今までの時間がもう取り戻せない気がして」
「そこは零君次第だからね」
「あのね亜希。もしかしたら、もう帰ってこないかもしれない。こっちには」
亜希の「はぁ!?」という驚きの声が響いた。
「それどういうこと?」
「今の時点では、有休の半分くらい使って北海道の千春おばさんのところに行こうと思ってる。そこでいろいろ考えて、あたしは零と完全に別れるって選択肢を選ぶかもしれない」
あたしがはっきりそう言ったから、亜希は何て言っていいか困っているみたいだった。
「…まだそうするって決めたわけじゃないよ。そういうこともあるかも、って仮定の話だから」
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