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「何で泣いてたの?」
零は心配そうに聞いて来た。
あたしは零に胸のうちを話そうと思った。
ちゃんとここで伝えないと。
「あたし…自分のことしか考えてなかった。この状況が…自分が一番辛いって、勝手にそう思ってた。だから…零から離れようと思った」
「うん…」
「あたしなんかいないほうが、零だって今まで通り過ごせるし…あたしに気を使って生きていかなくて済むし…そう思ってた。このまま一緒にいたらお互いが傷つくって思い込んでいたの」
あたしは喋りながらさっきのアルバムを思い出した。
「あたしっ、自分だけが…無理してがんばって…勝手にいろんなこと思い込んで、零から逃げようとしてた。零の気持ちも考えないで…」
ゆっくりと零を見た。
「さっきね、アルバム見ようと思って寝室に入ったの。零、あれ見てあたしのこと思い出そうとしてくれてたんだよね…」
「…」
「零は零でちゃんとがんばってるのに…あたしずるいよね。自分のことばっかりで、ホント最低」
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