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それからも零の愛撫は続いた。
どういうわけか、零はあたしの感じるポイントを的確に責めている。
「栞…」
あたしは零の顔を見た。
「ん?」
零はニッコリと微笑んだ。
「思い出せた」
「え?」
「栞の体に触ってたら、何か前にもこの光景…みたいな感じで、旅行のときのこと思い出してさ。それから一気にピースがはまったみたいに思い出していった。すごいな、栞の体は」
零は笑いながらそう言った。
こっちはそれどころじゃないのに。
なんでそんなに軽いのかって文句を言ってやりたかったけど、あたしはそれ以上に零が思い出してくれたことが素直に嬉しかった。
「泣くなって」
「だって…決心したばっかりだったのに…。あたしがわからない零と…一緒にいるって」
あたしは零の胸に顔をうずめた。
「ごめん。今まで淋しい思いさせて。酷い態度もとったし…いっぱい傷つけたと思う。だけどこれからはちゃんと傍にいるから」
零はあたしを優しく抱きしめてくれた。
そしてあたしの耳元でつぶやいた。
「愛してるよ」
その夜は久しぶりに一緒に寝た。
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