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二人は睨み合ったまま視線をはずさなかった。
「だから別れるって言ったの?」
「あぁ、そうだよ。嫌気がさしたんだよ」
そう純也が言ったすぐ後に、亜希は思いっ切りテーブルを叩いた。
それに驚いたのはあたしと零だけだったけど。
「どこのどいつかわかんないのと連絡取ってるのはあんたの方でしょ」
亜希がブチ切れた。
「知ってるんだからね。こそこそベランダで元カノと電話してんの」
「元カノ?電話してねーよ」
「会ってんのだって知ってるんだから」
純也は黙った。
「その元カノから亜希に電話きたんだけど。純也を返せって。シラ切るなら今その女に電話するけど?」
「…お前が悪いだろ」
零が純也に言った。
普通にあたしもそう思った。
純也は何も言わなかった。
それにまた亜希はキレる。
「こっちから別れてやる」
亜希はそう言って立ち上がった。
そしてなぜかあたしの腕を掴んだ。
「えっ、亜希…?」
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