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「亜希がいいって言ったらいいの」
亜希はボトルを開けてグラスにその中身を注いだ。
「亜希の失恋記念にかんぱーい!」
「かんぱーい…」
グラスを合わせ、亜希はそれを一気に飲み干した。
そして突然思い出したように叫んだ。
「あぁっ!」
「えっ…なに?」
「亜希、勢いで栞のこと連れて来ちゃったけど…栞、新婚初日じゃん!これから初夜が待ってるのに亜希と飲んでる場合じゃないよね!」
そう焦る亜希がおもしろくて、あたしは思わず笑っていた。
「栞…?」
「あはは、ゴメンゴメン。いいんだよ、気にしないで」
「でも…」
「新婚って言っても、何も前と変わらないんだから。今亜希といるほうが大事だもん」
そう言った後、亜希はあたしに抱き着いてきた。
どうやら嬉しかったらしい。
「結婚しても、うちらは変わらないよって言ったじゃない」
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