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ちゃんと純也と話し合わないとダメだと思った。
あたしはそれができなかったから。
「だいたい、あんな別れ方ダメだよ。もっと落ち着いて話し合わないと。もし二人で話すのが怖かったら、あたしも零もその場にいるから」
「うん…」
亜希は疲れたのか、そのあとすぐに眠ってしまった。
あたしは一人で考え事をしていた。
眞鍋さんに捨てられたときを思い出す。
眞鍋さんと連絡が取れなくなって、あたしは自分が妊娠していることに気付いた。
その時はかなり不安だった。
だから亜希の不安はよく理解できた。
次の日、あたしは薬局で妊娠検査薬を買った。
それを亜希に手渡すと、亜希は眉間にシワを寄せながらトイレに入った。
あたしはドキドキしながら亜希が出て来るのを待った。
「…亜希」
亜希が出て来た。
表情は変わらない。
「亜希…どうだったの?」
亜希はあたしの顔を見た。
「陽性…だった」
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